何でもないことだけを考えよう、風のことを考えよう。

feel-the-wind

Think of nothing things, think of wind.

So he pushed his face into the pillow,
covered his ears with his hands,
and thought: 
think of nothing things, 
think of wind.

Truman Capote,Shut a Final Door

そして彼は枕に頭を押しつけ、
両手で耳を覆い、
こう思った:
何でもないことだけを考えよう、
風のことを考えよう。

トルーマン・カポーティ、
1949年出版の8つの短編からなるA Tree of Night and Other Storiesという短編集の中の1つの物Shut a Final Door。

その最後のフレーズが、
これだ。

Think of nothing things, think of wind.
村上春樹の最初の作品である風の歌を聴けはこの一節からとられていることは周知の事実だ。

ただカポーティの風は何でもないことでも、
村上春樹の風は何でもないことではない感じだ。

その風はひとつのたましいのようなものを持つ場所で、
風について考えるというのは誰にでもできるわけではないしいつでもどこでもできるわけではないらしい。

人がほんとうに風について考えられるのは、
人生の中のほんの一時期のことみたいだ。

ただボクが思うに、
彼はずっと風のことを考えていてそれをいくつかのスタイルで物語化しているように感じるけど。

では、
村上春樹の風とは何なんだろう?

向こう側に場所を移してしまった、
ある意味失われた人々の声なんだろうか?

その人々が時々こちら側に現れて話してくれる言葉を
ちゃんと聴けと言うことなんだろうか?

それとももうこちら側には居ない人に対していつまでもいろいろな想いや感情を抱くことなく、
耳を澄ませば微かに聴こえてくるかもしれない小さな声をただ聴くことにしようということなんだろうか?

まあ、
いくら考えたところで正解はわからない。

でも、
それで良いのだと思う。

Think of nothing things, feel the wind.

ボクは自転車のペダルを漕ぐようになって、
風を感じるようになった。

考えるのではなく、
ただ感じるのだ。

閉じこもって風のことを考えるのではなく、
外に出ることで風を感じるようになるのだ。

そうすると、
いろいろな風の声が聞こえてくる。

それは風のことを考えていた頃に比べると、
悪くない気がしている。

Don’t think! Feel!
考えるな!感じろ!って言ったのはブルース・リーだったっけ?

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