夏なんです

夏なんです

或る夏の一日

熱中症の危険性が極めて高い気象状況が予測されています、
と熱中症危険アラートが教えてくれる。

それでもボクは、
極力外出は控えるようにと注意されている世界へと敢えて自転車で飛び出す。

ギンギンギラギラの太陽にホーシーツクツクの蝉の声、
モンモンモコモコの入道雲。

はっぴいえんどの夏なんですが、
頭の中でぐるぐると鳴り始める。

ボクは、
遊歩道のベンチでひとやすみ。

iPhoneは、
耐え切れず高温注意と訴え操作不能。

ギンギンギラギラの太陽は、
ひとやすみすらさせてはくれない。

再び風を受けるために、
ボクはペダルを漕ぎ始める。

まだホーシーツクツクの蝉の声はしないし、
モンモンモコモコの入道雲も登場していない夏の始まり。

それでもひとしきり危険な暑さを堪能して、
ボクはおうちに帰る。

玄関先に、
茶色い小さな物体が見える。

近付くと、
それは突然暴れ出す。

ジージーと最後のサウンドを響かせ、
短かった地上での日々を終えてまた土の中に戻るのだ。

それを見届けおうちに入り、
シャワーで水を浴びて身体の温度を下げる。

エアコンの効いたリビングでビールでクール・ダウン、
そしてベッドにダイビング。

瞬間の幸せを紐づけたまま、
午睡へと突入する。

ふと目を覚ますと、
熱を冷ましたオレンジ色の空。

まだ少しばかり熱を感じさせる、
夏の夕方の心地良い風がカーテンを揺らす。

TVでは、
サッカーの試合が始まる。

それを観ながら、
再びビールでスタジアム気分。

試合が終わる頃には、
また夢の中へダイビング…。

休日の朝、
今日1日をイメージしてその通りに過ごしてみる。

そんなふうに、
或る夏の一日が終わっていくのも悪くない。

はっぴいえんど – 夏なんです

はっぴいえんど1971年リリースのアルバム、
風街ろまんの中の1曲。

1度頭の中で鳴り出すと、
しばらくぐるぐると回りっぱなしになる。

Earwormとか、
Involuntary Musical Imageryとか呼ばれるやつだ。

50年以上も昔々のこのアルバム、
もう随分長いこと聴いてきているので古臭いイメージはボクにはない。

松本隆氏のです・ます調の歌詞は、
この曲に限らず(特に細野晴臣氏の曲)見事にはまっている。

おまけ Moby Grape – He

この曲の始まりを聴いてすぐ思い出すのは、
やはりこれだ。

モビー・グレープ、
1968年リリースのアルバムWow/Grape Jamの中の1曲。

このことは、
細野氏本人も公言している。

まあ、
聴き比べれば最初だけは確かに似ている。





Comment Feel Free

タイトルとURLをコピーしました