ベンチは豊かさの象徴かもしれないななんて思ったりして

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セント・ピーターズバーグの7000ものベンチ

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ベンチはどこにだって普通にあたりまえにあるものだなんて考えていたが、
よく考えてみたらそんなことがあるわけないのだ。

もしもどこかにベンチを設置しようとすれば当然お金はかかるし、
だいたい好き勝手に設置することなどできない。

そうそう、
100年以上も昔々のアメリカのフロリダ州西海岸にあるセント・ピーターズバーグ。

そこには、
なんと7000もの緑色のベンチがあったそうだ。

1つの街に7000ものベンチがあったなんてちょっと想像できないが、
実際にあったらしい。

元々は不動産事業を営んでいたノエル・ミッチェルという人が、
ベンチ置いたら人が来て店も儲かるんじゃないか?と考えたのが始まり。

まあ最初の動機なんてこんなもんだよな、
こんなもんだけどそれはやがてこんなものではなくなる。

実際に明るいオレンジ色のベンチを50個置くとすぐさま効果が現れて、
周辺のエリアからそのビルの足元に人々が溢れるようになった。

更にベンチに自社の広告を施したことで、
我が社の広告も入れてくれ!という依頼が殺到したらしい。

やがて地元の人々だけではなくて、
全米から観光客が訪れるような街になったそうだ。

たかがベンチは、
されどベンチになったいったわけだね。

もちろんベンチは訪れる1つの目的になったかもしれないが、
それだけで人々が溢れるわけがない。

ベンチに座って見知らぬ人とコミュニケーションをとることも、
もしかしたら目的になったかもしれない。

でも、
もしかすると特に目的があったわけではないかもしれない。

誰にでも開かれた場所で誰でも受け入れられる場所に、
何となく身を置きたかっただけのことかもしれない。

誰にでも開かれた場所で誰でも受け入れられる場所…
そんなある意味理想のような場所がかつては存在していたのだ。

そしてそのマインドは、
様々な形で今に受け継がれているようだ。

こうなるとたかがベンチされどベンチなんてレベルでは収まらず、
ベンチは豊かさを象徴するものになる。

セントラルパークのベンチのプレート

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そういえば、
ニューヨークのセントラルパークのベンチにもプレートが取り付けられている。

あれは、
元々あったベンチにプレートを取り付けたものだ。

1970年台頃から財政難だったニューヨーク市と公園を管理する財団が、
公園維持・管理などに使う資金を寄付で集めることを発案。

プレートはその『お礼』で、
最初は5千ドルから始まって今では1万ドルくらいになっているようだ。

ニューヨークには『CityBench Program』というのがあって、
私有地や公園ではなく公共の歩道に2,100ものベンチを街中に設置して今も毎年そのプログラムは拡大している。

ニューヨーク市運輸局(NYC DOT)のHPを見ると、
そのことが書いてある。

どこにベンチが設置されているのか?のマップやリストがあるし、
設置してほしい場所のリクエストまで受け付けているんだから素晴らしい。

そういった行政は日本にもあるだろんだろうか?
あったとしても多分レベルが違うような気がするんだけどどうなんだろう?

少なくともかたらいベンチはそれなりにすてきな試みになっていると思う。
知らない間にベンチが増えていたりするのを見るのは何だか良いなと感じるのだ。

Old Friends

Old friends
Old friends
Sat on their park bench
Like bookends…

Old friends
Memory brushes the same years
Silently sharing the same fear…

—Paul Simon,Old friends

オールドフレンズ
オールドフレンズ
公園のベンチの両端にすわっている姿は
まるでブックエンドみたいだ…

オールドフレンズ
思い返せばあっという間だったな
静かに共にお迎えを待とうじゃないか…

ベンチというとこの曲を思い出す。
サイモンとガーファンクルの『Old Friends』。

1968年にリリースされた『Bookends』に入っている曲でもあり、
シングル『Mrs. Robinson』のB面にもなっている。

当時ポール・サイモンは20歳後半なんだけど、70歳の老人のことを歌にしているんだからある意味スゴイ。
スゴイと言えば『Sat on their park bench Like bookends…』だなんて…見事過ぎる。


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