いつか、はずっといつかのままの方が良いのかもしれない。

ジェイズ・バーにあったあの版画

そういえばジェイズ・バーにあったあの版画ってどうなったのかしら?
好きだったのにな。

まるでロールシャッハ・テストにでも使われそうな図柄、
ってやつかい?

そう。

向いあって座った二匹の緑色の猿が、
空気の抜けかけた二つのテニス・ボールを投げあっているように見えるって誰かが言ってたな。

金持ちなんて・みんな・糞くらえさ、
って時々どなっていた人のお友達でしょ。

そうだったかな?
あのバーでの出来事はなぜかあまり思い出せないんだ。

わたしはよく覚えているわ。
だってあそこであなたと久しぶりに再会できたのだから。

そうだったね、
いくら何でもそれくらいは覚えている。

まあいいわ、
それよりお猿さんって言えばあなたの部屋には赤いお猿さんがいるんでしょ?

もう随分と長いこと笑っているんだか、
何かを企んでいるんだかわからないような表情でずっとぶら下がっているよ。

1度見てみたいな、
その赤いお猿さん。

いつかね。

いつかっていつ?

いつかはいつかさ。

そういうのって、
案外ずっといつかのままだったりするのよね。

そうかな?
案外そのいつかはすぐだったりするかもしれないよ。

いいわ無理しなくても。
いつかはずっといつかのままの方が良いのかもしれないし。

Red Monkey Red Monkey Red Monkey

それって REDRUM でしょ?

正解。

99% for Nothing

いつか、
はずっといつかのままの方が良い場合もきっとあるに違いない。

いつかが現実に叶ってしまえば、
もういつかではなくなってしまう。

いつかでなくなってしまえば、
もう何も想像することもない。

拡がっていた想像は、
膨らむことを止めてただの現実になってしまう。

ただの現実は、
実は案外つまらないものだったりするかもしれない。

ただただいろいろと想像している方が、
結構楽しかったりするものなのだ。

赤いお猿さん

赤いお猿さん

さて、
赤いお猿さんはきっとウォーホルのポスターだろう。

1983年スイス・チューリッヒにある、
ギャラリー・ブルーノ・ビショッフベルガー。

そこでで行われたエキシビジョンに際し刊行されたカタログ作品集、
Andy Warhol’s Children’s Bookの表4にもなっているやつだ。

残念ながら、
ジェイズ・バーのロールシャッハ・テストにでも使われそうな図柄の版画はわからない。

空気の抜けかけた二つのテニス・ボールを投げあっている、
向いあって座った二匹の緑色の猿。

左の猿があんたで右の猿があたしだね。
あたしがピール瓶を投げるとあんたが代金を投げてよこす。

ジェイのこの解釈、
感心させられてビールが飲みたくなってくる。

REDRUM

ところで、
唐突にRed Monkey Red Monkey Red Monkeyとボクが呟くと即座にREDRUMでしょ?と返すことができる彼女は素敵だ。

やはりここでボクはダニーのようなあの声で、
Red Monkeyと呟いたのだろうか?

それってREDRUMでしょ?
と返してくれることを期待していたんだろうか?

いずれにしても、
きちんと返してくれた彼女は誰にも代えがたいとボクは思ったに違いない。

Midnight, The Stars And You – Ray Noble Orchestra With Al Bowlly

というわけで、
曲は1934年にリリースされたアル・ボウリーとレイ・ノーブル楽団によるMidnight, The Stars And You。

REDRUMと呟きながらダニーはナイフを手に取り、
母親のウェンディの口紅でドアにREDRUMと書く。

やがてつぶやきは叫びに変わり、
ウェンディが目を覚ます。

そして、
ウェンディは鏡に映って反転したMURDERという文字を見る。

これはあまりにも印象的で鳥肌物の、
スタンリー・キューブリック1980年公開の『The Shining』のワンシーンだ。

この映画のエンディング、
1921年のジャックが中心で笑ってるパーティーの写真にカメラが近付いていくシーンで流れるのがこの曲だ。

このシーンのお陰で、
この曲は明らかに印象が変わってしまった。


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