金木犀

金木犀

厚い雲に隠された月、
暗い夜道家路を急ぐ。

知らぬ間に、
甘い香り満ち満ちて。

赤黄色の金木犀は見えないけれど、
ここにいるよと教えてくれる。

こっちにもいるよ、
あっちにもいるよ。

香りがボクを追いかけてくる、
香りがボクを待ち伏せしてる。

甘い香りは、
海馬目掛けて一直線にやってくる。

失われた時を求めて、
あれやこれやと記憶が蘇る。

家に帰ったらマーマレードを紅茶に浸して食べようと思い付き、
コンビニに立ち寄る頃には甘い香りは何処かに消えてしまった。

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