短い夏が終わったのに今、子供の頃の寂しさがない。

茜色の夕日

私は子供の頃のワクワクやドキドキの方が好きかな

ねえ、
それって面白いの?

1975年のTVムービー、
『The Night That Panicked America』が流れている。

どうかな?
子供の頃の楽しさはないかもしれない。

あなたにも子供の頃があったのね、
あたりまえだけど。

もちろんあったさ、
でもその頃の楽しさはもうどこかに消えてしまったみたいだ。

あの頃に感じていたいろいろな感情って、
もう感じることは無いのかしら。

ある年齢のワクワクやドキドキは、
きっとその時だけに起こるんだ。

だとしたら、
残念な話ね。

そうでもないさ、
今には今のワクワクやドキドキがある。

でもそれって、
メーターの振れ方は小さくなっているんじゃない?

そうかもしれないけど、
大人にしか感じられないワクワクやドキドキだってある。

それでも、
私は子供の頃のワクワクやドキドキの方が好きかな。

短い夏が終わったのに今、
子供の頃の寂しさがない。

なにそれ?

志村正彦。

99% for Nothing

The Night That Panicked America

The Night That Panicked America、
1975年のアメリカのTV映画だ。

H.G.ウェルズ1898年のSF小説『The War of the Worlds(宇宙戦争)』をラジオ番組化した、
オーソン・ウェルズ演出1938年の『War of the Worlds』放送当時の様子を描いたもの。

この番組は音楽中継の途中で、
火星人襲来の緊急ニュースが報じられるという体裁で進んでいくものだ。

この生放送が引き起こしたアメリカのパニックを描いたのが、
アメリカを震撼させた夜(The Night That Panicked America)。

実際にそんなパニックがあったのか?と言えば、
今では単なる都市伝説ということになっている。

ただ事実はどうであれ、
このTV映画がかなり面白かったという記憶はボクの中にはずっとある。

1938年

1938年といえば、
デレク・ハートフィールドがエンパイア・ステート・ビルの屋上から飛び下りた年だ。

そして、
ナチスがユダヤ人迫害を始めた年でもある。

チェコのズデーテン地方帰属問題を巡ってナチス・ドイツと欧米列強がかなり緊張関係にあって、
アメリカもこれに巻き込まれるかもしれないという懸念が膨らんでいった頃だ。

なのでこの番組が、
ドイツ軍による攻撃だと勘違いした住民が多かったという話もあるが結局は都市伝説なのだ。

それでも都市伝説は、
ある意味ワクワクやドキドキの対象なのかもしれない。

今のワクワクやドキドキはメーターの振れ方が小さくなっている

ところで子供の頃の記憶ってやつは、
概して今にしてみれば随分と楽しそうだ。

たとえ今だからこそのワクワクやドキドキがあっても、
メーターの振れ方が小さくなっているかもしれないというのはその通りだと思う。

ましてや子供の頃の体験を追体験したところで、
もうあの頃のワクワクやドキドキはもうどこかに消え去っている。

短い夏が終わったのに今、
子供の頃の寂しさがない。

―志村正彦,茜色の夕日

そのことをこんなふうに表現した志村正彦は、
ボクにしてみれば天才なのだ。

ワクワクやドキドキのストック量

さてさて子供の頃の様々なワクワクやドキドキって、
どれだけストックできているんだろう?

実はそのストックの量は、
今現在にいろいろと影響を及ぼしているのかもしれない。

ストック量が多ければ多いほど、
大人になってからの人生もそう悪くないと感じられるかもしれないな。

なんとなく、
だけど。

フジファブリック – 茜色の夕日

というわけで、
フジファブリック茜色の夕日。

ボクは、
志村君があっち側に行ってしまったあとのフジファブリックを聴くことはない。

彼が創った詩は、
彼が歌う以外に心に刺さることは無い。

彼が居なくなった後は、
当たり前だけれど全くの別バンドなのだ。

それはスケールこそ違えど、
フレディ・マーキュリーの存在しないQueenみたいなものなのだ。

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