朝の四時に大音量で聴くことをやめた『ドアーズのLP』

ドアーズ

28にもなれば段々とまともになっていくものなのかな?

我々はもう詩人でも革命家でもロックンローラーでもないのだ。
酔っ払って電話ボックスで寝たり、
地下鉄の車内でさくらんぼを一袋食べたり、
朝の四時にドアーズのLPを大音量で聴いたりすることもやめた。
………………………………
なにしろ、もう28だもんな。

―村上春樹-ニューヨーク炭鉱の悲劇

そりゃあまあ、
28にもなればいろんなことが違ってくるだろう。

なにしろ、
28だもんな。

詩人は21歳で死ぬし、
革命家とロックンローラーは24歳で死ぬんだから。

その上、
あの『The 27 Club』の仲間入りも逃れたわけだしね。

そりゃあそうだ
そんなものだ。

ロバート・ジョンソンでもなければブライアン・ジョーンズでもないし、
ジミ・ヘンドリックスでもないしジャニス・ジョップリンでもない。

ジム・モリスンでもなければカート・コバーンでもなければ、
エイミー・ワインハウスでもないのだから。

年齢を重ねれば、
自然と失うものがある。

それは詩人的内面だったり革命家的内面だったり、
ロックンローラー的内面だったり…。

そうしたものはやがて消え失せ、
段々とまともになっていくのだ。

酒を呑みすぎることはあっても電話ボックスで寝ることもなくなり、
礼儀正しい酔っ払いになるだけだ。

地下鉄の車内でさくらんぼを一袋食べたりはしなくなり、
せいぜい口の中で茎を結んでアンドレイ・ホーンを思い出すくらいだ。

それでも、
ドアーズだけは大音量で朝の四時に聴くことはあるかもしれない。

そんな時でも大音量というわけにはいかないから、
ヘッドフォンで大音量にしてジム・モリスンの声にダイブするのが関の山だ。

まあ、
そんなものだ。

ザ・ドアーズ

さて、
ドアーズだ。

バンド名はイギリスの作家、
オルダス・ハックスレー『The doors of perception』が由来ってどこかで聞いた気がする。

幻覚剤やメスカリンの実験内容、
を記したものだね。

それで『The doors of perception(知覚の扉)』は、
ウィリアム・ブレイクの『The Marriage of Heaven and Hell』の詩の一節が由来。

If the doors of perception were cleansed,
everything would appear to man as it truly is, infinite.

― William Blake-The Marriage of Heaven and Hell

もし知覚の扉が浄化されるならば、
全ての物は人間にとってありのままに現れ無限に見える。

という感じだろうか?
果たして彼らはジム・モリスンが『The Doors』と名付けた既知の世界と未知の世界の境目の扉になれたのだろうか?

知っているということを知っている、
知らないということを知っている。

そして、
知らないということすら知らない。

世界は、
もっと複雑なのかもしれない。

ボクは、
既知の未知の世界と未知の未知の世界の境目の扉になりたいかな。

The Doors – Strange Days

ここに出てくる、
『ドアーズのLP』はどれだろう?

ボクがアルバムとして通しで聴くのはだいたいいつも1stだけれど、
果たしてここに出てくる『僕』はどうだろう?

ここは敢えて、
2ndアルバムだということにしておこう。

そう、
2nd は『Strange Days』だね。

その、
タイトル・トラックだ。

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On A Slow Boat To China
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