ベートーヴェンの『ヴァイオリン・ソナタ 第9番「クロイツェル』イ長調 作品47』

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『ブリッジタワー』になっていたかもしれない『クロイツェル』

村上春樹『古くて素敵なクラシック・レコードたち』12曲目は、
ベートーヴェンの『ヴァイオリン・ソナタ第9番「クロイツェル」イ長調作品47』。

ヴァイオリニストのロドルフ・クロイツェルに献呈された曲だけど、
元々は他の人に献呈されるはずだったのは有名だね。

その相手とは、
ジョージ・ブリッジタワー。

当初は『Sonata per uno mulaticco lunatico(気分屋の混血のためのソナタ)』という献辞が付いていたそうだが、
これは親しみからきたものなんだろう。

1803年ベートーヴェンのピアノ、
ブリッジタワーのヴァイオリンで初演が行われる。

ただその後ブリッジタワーがベートーヴェンの大切にしていた女性を侮辱して怒らせたことで、
献呈を取り下げたというお話。

献呈し直されたクロイツェルは、
結局この曲を1度も演奏しなかったみたいだけど。

レフ・トルストイの小説『クロイツェル・ソナタ』は、
この曲に触発されて執筆された作品。

嫉妬心にかられ妻を殺してしまった、
夫の悲劇が描かれている。

ヤナーチェクはこの小説に刺激を受けて、
弦楽四重奏曲第1番『クロイツェル・ソナタ』を作曲している。

5枚のレコード

今回は、
5枚のレコードが紹介されている。

・ゲオルク・クーレンカンプ/ヴィルヘルム・ケンプ
・ヘンリク・シェリング/アルトゥール・ルービンシュタイン
・アルテュール・グリュミオー/クララ・ハスキル
・ユーディー・メニューイン/ルイス・ケントナー
・ヤッシャ・ハイフェッツ/ブルックス・スミス

構成

第1楽章 アダージョ・ソステヌート – プレスト
    イ長調 – イ短調
    4分の3拍子 – 2分の2拍子
    序奏付きソナタ形式
第2楽章 アンダンテ・コン ・ヴァリアツィオーニ
    ヘ長調
    4分の2拍子
    主題と4つの変奏曲
第3楽章 プレスト
    イ長調
    8分の6拍子
    ソナタ形式

クーレンカンプ(Kulenkampff)/ケンプ(Kempff)

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ヴァイオリンはゲオルク・クーレンカンプ(Georg Kulenkampff)、
ピアノはヴィルヘルム・ケンプ(Wilhelm Kempff)。

ナチス時代に、
ドイツに残った2人の競演だ。

残った人に去った人、
こうやって残った中にこの人たちが居たことはとても意味があるように思う

シェリング(Szeryng)/ルービンシュタイン(Rubinstein)

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ヘンリク・シェリング(Henryk Szeryng)、
アルトゥール・ルービンシュタイン(Arthur Rubinstein)。

イングリット・へブラー(Ingrid Haebler)と組んだ演奏のにも触れられているので、
一緒にそちらとも聴き比べてみよう。

男性のピアノと女性のピアノで違うのか、
録音の時期で違うのか…なかなか面白い比較だ。

グリュミオー(Grumiaux)/ハスキル(Haskil)

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ヴァイオリンはアルテュール・グリュミオー(Arthur Grumiaux)、
ピアノはクララ・ハスキル(Clara Haskil)。

スッキリが良いか、
引っ掛かりがある方が良いかで好き嫌いが分かれるかもしれない。

心地良いしキレイな音だし申し分ないけれど、
少し癖のある方が好きかな。

メニューイン(Menuhin)/ケントナー(Kentner)

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ヴァイオリンはユーディー・メニューイン(Yehudi Menuhin)、
ピアノはルイス・ケントナー(Louis Kentner)。

柔らかく穏やか、
これも好みが分かれるのかもしれない。

ハイフェッツ(Heifetz)/スミス(Smith)

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ヴァイオリンはヤッシャ・ハイフェッツ(Jascha Heifetz)、
ピアノがブルックス・スミス(Brooks Smith)。

聴く意味が見当たらないと言われているが、
確かに若干ギスギスしたところがここまでくると疲れるかもしれない。

カップリングのバッハの『二つのヴァイオリンのための協奏曲』に言及されているけれど、
クロイツェルばかり聴き比べをしているとこれが余計に良く聴こえてきたりする。

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